Loneliness




「それでさ、話の続きだけど。」



手当てを終えた刹那は、
再び顔を近付けて来た。
俺は慌てて顔を背ける。



「あたしの事、好きに して良いよ。
その代わり、帝国の事 教えてよ。」


「…………。」



刹那の言葉に、視線を床に向ける。



成程。
彼女は所長の娘として、
自分の気持ちを代償に
囚人から情報を引き出して
生きて来たのだろう。



道理で、出逢った時に
似た境遇を感じたんだ。



大人からの理不尽に逆らえず、
感情を押し殺している時点で、
俺と彼女は一緒だから。



「あんたが望むなら、
情報と引き換えに
帝国に帰してあげても良いよ。」



刹那は どうやら、
俺が自殺を する気が無い事を、
帝国に未練が在るからだと
思ったようだ。



とんだ お門違いだ。



「……帝国に?」


「ええ。」


「そんな事、
こっちから願い下げだ。」


「……え?」