「てか あんた、
死にたいなら舌 噛んで死ねば?」
それを聞いた瞬間。
胸の中で、
何かが ことりと音を立てた。
「……それは……。」
刹那に言われる迄も無く、
気付いていた事。
両手の自由を奪われている俺は、
舌を噛んで死ぬ事なら出来る。
王国の捕虜に なった時点で、
スパイである俺は死ぬ義務が在る。
それが、出来ないのは。
――俺が、弱いから――。
何も言わない俺に対し、
刹那は1つ溜め息を つくと、
再び近付いて来た。
「取り敢えず手当てするから
蹴らないでよ?」
その後は、拒む気に なれず、
刹那の手当てを受けた。


