独房の格子の鍵を開け、
中に入って来たのは、
最果ての刑務所の所長の娘だった。
確か、
刹那と言う名前だっただろうか。
薄暗い中、彼女の綺麗な赤髪と
黄金の瞳が輝いて見えた。
先程 団長に拷問された傷が痛み、
俺は俯いた。
頭を上げたままでいるのが辛い。
刹那は恐れる様子も無く
俺に歩み寄ると、
その細い指で俺の顎を掴み、
顔を上げさせられた。
頭が くらくらしている所為か、
視界が歪む。
刹那の顔が ぼやけて見えた。
彼女の口が、ゆっくりと開く。
「……ねぇ、あたしと遊ばない?」
問われた意味が理解 出来ず、
瞬きを した時。
彼女の指が顎を伝って、
首を、そっと なぞった。
思わず躰が反応してしまう。
10年間、男だけしか居ない空間で
生活して来た俺にとって、
女とは未知の生き物だったから。


