拷問されている間、
悲鳴すら上げてやらないと決めた。
此方が苦しんでいる姿を見れば、
団長は益々 喜ぶ。
人として、嫌いだ。
団長のくせに、毎日 俺を
拷問しに来るのも気に入らない。
騎士団の職務を全うしろと、
心の中で罵ってやる。
上に立つ者が動かずして、
下の者が忠実に働く訳がない。
帝国の、スパイ管理所の所長と一緒だ。
「…………っ!」
そんな事を
つらつらと考えている間も、
団長の拷問は続く。
けれど やがて それも止み、
ふと気付くと、
独房には俺しか居なかった。
蹴られた躰が痛い。
殴られた頭が くらくらする。
こう言う時は、
気絶するように眠るのが1番だ。
そう思い、目を瞑った時。
誰かが近付いて来る気配が した。


