「俺は、あの国が大嫌いだ。」
「はい?」
「あんな国、滅んでしまえば良い。」
テューロが言っている事が
理解 出来なくて、
あたしは ぽかんと口を開けた。
「……家族は? 仲間は?」
「どうでも良い。」
何、こいつ。
これじゃあ、どうやって
情報を引き出せば良いか、
解んないじゃない。
てゆうか、家族も仲間も
どうでも良いって、何なのよ。
さっき、別の独房で
男と寝た事を思い出す。
その時 感じた虚しさ。
父さんの為に生きて、
汚れて行く自分が、
あたしは大嫌いで。
テューロの言葉で、
今迄の人生や生き方を、
完全に否定されたような気がした。
頭に来た あたしは、
テューロを睨み付けた。
「あんたって、孤独なのね。」
それを訊いたテューロの瞳が、
大きく揺れた。


