手当てを終えた あたしは、
再びテューロを誘惑してみる事に した。
「それでさ、話の続きだけど。」
あたしが顔を近付けると、
案の定テューロは そっぽを向いた。
「あたしの事、好きに して良いよ。
その代わり、帝国の事 教えてよ。」
「…………。」
テューロは床を見つめたまま動かない。
もう一押しかな?
「あんたが望むなら、
情報と引き換えに
帝国に帰してあげても良いよ?」
さっきテューロに
自殺しないのかと訊いた時、
彼が口籠ったのは、
死にたくないからなのかなって思った。
帝国に残して来た家族が居るなら、
自分から命を絶つのは
若い彼には無理なんじゃないかなって。
けれど、テューロの反応は
予想してないものだった。
「……帝国に?」
「ええ。」
「そんな事、
こっちから願い下げだ。」
「……え?」
あたしの瞳を見つめた
テューロの銀の瞳は、
ぞっとする程 綺麗だった。


