Loneliness




「え、御免、傷に触れた?」



あたしは慌てて
テューロの背中から手を離す。
痛みに顔を歪める彼の額には、
大粒の汗が浮かんでいた。



「……何でも、無い……。」


「何でも無い訳 無いでしょ。
ちょっと見せて。」



あたしは彼の背後に回り込んで、
服を捲り上げる。



「お、おい……っ。」



慌てたテューロの言葉なんて、
耳に入らなかった。



其処には、醜い傷が在ったから。



恐らく捕まった時に出来たのだろう
その怪我は、剣で貫かれたらしく深い。
けれど あたしが驚いたのは
そんな事じゃなくて、
その傷が酷く膿んでいる事だった。



手当ても されず、
劣悪な環境で放置されている。
このまま放っておけば命に関わる事は
目に見えていた。



「ちょっと、
何で誰にも言わなかったのよ?」


「……言って どうする。」



あたしの質問に、
彼は面倒臭そうに答える。



けれど あたしが腰のベルトから
短剣を抜くと、彼の顔が引き攣った。