あれ?
頭に浮かんだ疑問に首を傾げつつ、
テューロの耳に口を近付けて、
言葉を続ける。
「あたしと、寝る?」
それを聞いた瞬間。
テューロは ばっと顔を背けた。
蒼い髪が あたしの鼻を掠める。
そっぽを向いたテューロの耳は、
薄暗くても解る程 赤かった。
疑問が、確信に変わる。
ふうん。
彼、童貞なんだ。
綺麗な顔。
落ち着いた物腰。
1度や2度の経験くらい
在ると思ってたのに。
どうやら彼はヤった事すら
無いらしい。
この刑務所に来る男は
大体 性欲に塗れていて、
あたしが誘うと
喜んで白状してくれたのに。
こんな初心な反応を されたのは
初めてだ。


