「……俺の仲間は、どうなった?」
「死んだよ。」
予想していた通りの答えだったのだろう。
スパイは無表情のまま質問を続ける。
「……何故 俺は此処に?」
「帝国の情報を得る為に。」
「……何故 俺を?」
「団長の話だと、
君が最後迄
姿を現さなかったそうじゃないか。
だから君が責任者なのだと思い、
連れて来たんだが。」
「……そうか。」
スパイは何かを考えている風で、
黙り込む。
そんな彼の お腹を、
瞬の父親が再び蹴った。
「……ぐっ!」
スパイは目を瞑って
再び襲った吐き気を堪えた。
「それで?
貴様が責任者なのか?」
その言葉を聞いた瞬間、
スパイの様子が がらっと変わった。
今迄 物静かだった彼は
突然 瞬の父親を見上げ、
ふてぶてしく笑ったのだ。
「騎士団の団長ともあろう お方が、
とんだ人選ミスだな。
責任者は茶髪の男だ。
俺は唯の下っ端さ。」
「こいつ……っ!!」


