「……テューロ。」
低く掠れた、耳触りの良い声。
スパイの答えに
父さんは満足気に頷いた。
「物分かりが良い奴は好きだよ。
次だ。
君は帝国のスパイで間違いないな?」
その問いにスパイは黙って頷く。
「君の仲間は、
茶髪の男と紫の髪の男。
他には?」
「居ない。」
「そうか。」
父さんは言葉を続けた。
「君の質問を聞こう。
何でも聞きたまえ。」
その言葉に、
スパイは驚いたようだった。
それは そうだろう。
捕まって、
拷問されるとばかり思っていたのに、
質問を許すなんて言われたんだから。
彼は暫く黙って俯いていたけれど、
やがて顔を上げると口を開いた。


