Loneliness




「そして彼の事は知っているだろう?」



父さんは あたし達の事を説明していく。



父さんに言われて、瞬の父親が進み出た。



「彼は王立騎士団の団長。
隣に居るのは
彼の息子の瞬だ。」



紹介された瞬は、スパイを睨み付けた。
殺されそうになった恨みが
多少 在るみたい。



瞬は元々は寛容な性格だけど、
剣の腕に関してのプライドは高いから、
彼に負けた事が許せないんだろう。



「それから私の娘の刹那と
姪の日里だ。」



紹介されて、スパイを見つめる。



彼は あたしと日里を一瞥し、
直ぐに父さんに視線を戻した。



捕まって、自由を奪われても
落ち着いて異国の人と向き合える。
その事に、
あたしが素直に感嘆していると。



父さんは独房の格子の鍵を開け、
中に入った。
その後ろに瞬の父親が続く。



「…………っ。」



スパイの躰が ぴくりと動いた。
彼は瞳に恐怖を浮かべながらも、
父さんと瞬の父親を見つめた。