微かに躰が強張る。
浅く息をしつつ、所長を睨んだ。
俺の直ぐ目の前で、彼は立ち止まる。
何故、立ち止まる?
手の自由を奪われているとは言え、
足で所長に攻撃する事は可能だ。
幾ら騎士団の団長が後ろに居るとは言え、
安全とは言えない。
暫く じっと俺を見つめ、
所長は微笑んだ。
「……成程な、良い判断だ。」
試されていたのだと気付く。
恐らく今 攻撃していたら、
俺は殺されていたのだろう。
「さて、君は その猿轡を取ったら
自殺する気で居るのかな?」
暫く所長の目を見つめた後、
俺は ゆっくりと首を横に振った。
それを見た所長が頷く。
すると団長が俺に歩み寄り、
猿轡が外された。
今迄 上手く飲み込めていなかった
唾液が口の端から滴る。
俺は小さく咳き込んだ。
喉が からからに乾いている。
口の中に血の味が広がった。
「それでは、質問に答えて貰おうか。
勿論、君が
誠意を持って答えてくれるのなら、
私達も誠意を持って
君の質問に答えよう。」
……所長の考えが、解らない。


