王都に潜入してから僅か3日目。
その日の夜、貸家に居たのは
俺とリティリーの2人だった。
フェイルは王都で知り合った
女の所へ遊びに行っている。
責任感の無い奴だと苦笑したリティリーも
気持ちは理解 出来なくないのか
止める事は しなかった。
静かに雨が降る夜だった。
リティリーの向かいの椅子に腰掛けて、
ぼんやりと剣を磨いていた時。
何かを感じ取り、神経を集中する。
恐怖、怒り、恐慌、殺気。
それ等を感じ取った瞬間。
俺は剣を腰に収め、
椅子から立ち上がると、
跳躍して屋根裏へと滑り込んだ。
「テューロ!?」
リティリーが驚いて上を見上げた時。
「リティリーっ!!」
雨で びしょ濡れに なった
フェイルが飛び込んで来た。
「フェイル!?
どうしたんだ!」
慌てて駆け寄ったリティリーの腕を掴み、
フェイルは信じられない事を口に した。


