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管理所の出口へ向かう。
手にした荷物は小さな鞄1つ。
生活するのに困らない
必要最低限の物しか入っていない。
腰には剣を差してある。
聳え立つ門の前には既に
リティリーとフェイルが居た。
「……集まったな。
それでは、行こうか。」
門番が俺達の首輪の番号を確認し、
門を開ける。
リティリーとフェイルに続いて
管理所を出る。
敷地から出て、ゆっくりと振り返る。
6年間、過ごした場所。
――俺の家であり、枷だった場所。
長年 恨んで来た筈の それが、
何故か尊い物に感じた。
……王国へ、行く。
歩き始めて漸く、
現実味が湧いて来た。
今迄 流されて生きて来た。
それでも、
其処で必死に生きようとした。
今度 流された地でも、
生き残れるのだろうか。


