今更 気付く。
いつの間にか俺の中で、レンドは
大きな存在に なっていたんだ、と。
ああ、少しだけ、胸が痛い。
理由なんか、解らないけれど。
「レンド……ありがとな……。」
気が付くと、そう言っていた。
レンドは驚いて目を見開く。
「……まさか お前から
お礼 言われる日が来るなんてな……。」
それから、
彼は心の底から浮かべたような、
開けっ広げな笑顔に なった。
「さよならは言わないからな。
お前が王国から帰って来る、
1番 最初の人間に なれば良いんだ。」
「無茶 言うな。」
俺の言葉にレンドは益々 笑い。
「またな。」
「ああ。」
そう言って、部屋を出て行った。
生きて、
再び会える日は来ないだろうと、
お互い解っていながら。


