リューの瞳が大きく見開かれる。
僕が何を言っているか、
きちんと理解した証拠だった。
「テューロ、何、言……って……。」
息切れのせいだろうか、
途切れ途切れに紡がれる言葉。
「先に村に帰って、大人を呼んで来て?」
走るのが得意で肺活量も多い僕は、
走りながら笑えるし、普通に話せる。
出来るだけ安心させようと微笑んだけど、
いつものように笑えているか どうかは、
僕にも解らなかった。
僕だって怖くない訳じゃない。
でも、このまま走り続けて
2人共 捕まるよりは。
今度こそリューの手を離し、
くるりと後ろに向き直る。
足音で、リューも立ち止まったのが解った。
追い掛けて来る男達は、
もう間近に迫っている。
ちらりと顔だけ振り返ると、
涙を流す幼馴染みの顔が見えた。
「リュー、行って?」
微笑んでも、リューは其処から動かない。
それでも僕は、笑顔を崩さなかった。
「待ってるから。」
「…………!!」
その言葉にリューは息を飲むと、
自らの拳で涙を拭って、力強く頷いた。
次いで僕に背を向け、
村の方角へ向かって駆け出す。
その背を見届けて顔を正面に戻すと、
丁度 男達が追い付いた所だった。


