「僕達に、何か用ですか?」
低い声音で男の1人を睨み付ける。
そいつは僕を見て、にやにやするだけだ。
「そうだね、用なら大在りだ。」
男が意味在りげに笑った瞬間、
斜め後ろに居た男が4人、
此方に向かって手を伸ばして来た。
リューに握られていた手を ぐいっと引く。
リューを捕らえようとしていた
男の手が空を切った。
そのまま僕を捕まえようとしていた
男の足を払って転ばせると、
リューの手を引いて走り出した。
「走って!」
僕の言葉に一瞬 遅れて反応し、
リューの足が動き出す。
「逃がすな!! 追え!!」
盗賊の声を聞きながら、
僕達は全速力で疾走した。
リューは怯えて動きが鈍くなっている。
庇ったまま盗賊を相手に するのは
無理だろう。
けれどリューは元々 走るのは得意じゃない。
盗賊達は直ぐ間近に迫っていた。
「リュー、このまま真っ直ぐ走って、
村に帰って。」
そう言いながら手を離し背中を押すと、
リューは驚いて振り返った。
その瞳に浮かんでいる涙が、きらきらと光る。
「僕は あいつ等を引き付けるから。
その間に逃げて。」


