「何だ、案外 平和じゃん。」
リューの呑気な口調に、
思わず笑ってしまう。
リューの言う通り、
村の外へ出てみても、
大人達が口を酸っぱくして言っていた
“危ない事”には遭遇しない。
あれは幼い子供を怖がらせて
躾を するのが目的だったのだろうと
ぼんやり思ってしまう程。
「ちぇ、つまんねェな。」
「つまんねェ、じゃないだろ。
危険に遭遇しない方が良いに決まってる。」
口を尖らせて膨れるリューに
苦笑するしかない。
そうして、気を抜いて
のほほんと歩いていたからだろう。
僕達は、迫り来る危険に、気付けなかった。
「おい、餓鬼。」
そう声を掛けられて初めて、
いつの間にか周りを30人程の男達が
囲んでいる事に気付いた。
「こんな所を彷徨いてる餓鬼は珍しいな。」
「へぇ、2人共 可愛い顔してんじゃん。」
男達は口々に そう言いながら近付いて来る。
その姿に恐怖を感じたのは
前を歩いていたリューも同じだったらしく、
慌てて後退り、僕の手を ぎゅっと掴んだ。
「テュ、テューロ……。」
かたかたと、リューの躰が震える。
僕は掴まれた手を握り返した。


