何度 扉を蹴っただろう。
気が付くと、硬い鉄で作られた白い扉は、
ひしゃげて、亀裂が入っていた。
「……っ……がはっ、はっ……はぁっ……。」
肺から血の塊が込み上げる。
抑える事が出来ず、床に膝を付いて
血と胃液を吐いた。
扉に すがり付き、何とか立ち上がる。
後ろに2、3歩 下がり、息を調える。
「ああぁあああぁっ!!」
最後の力を振り絞り、
扉に回し蹴りを喰らわす。
があんっ、と一際 大きな音が響き、
遂に向こう側が見えた。
空いた隙間から身を滑らせ、
部屋から脱出する。
途端に呼吸が楽に なり、
俺は俯せに倒れ込んだ。
汗と涙と胃液と血で、
躰は汚れていて とても重い。
それでも、今迄の人生で
何度も死線を潜り抜けて来た それよりも、
“生きている”と実感 出来た。
「……せつ、な……。」
無意識に呟いた自分の声が聴こえた。
そして、俺は暗闇に呑み込まれた。


