再び扉を蹴る。
何度も、何度も、同じ箇所を。
毒のせいだろうか。
視界が歪む。
それでも、俺は扉を蹴り続けた。
血を吐いても、
強い目眩に視界が歪んでも、
躰に力が入らず膝が折れても。
死にたいと言っていた、
馬鹿で弱虫で狡い俺等、死ねば良い。
「……はぁっ、はぁっ……
くっ……はぁっ……。」
荒い呼吸に、ぜぇぜぇと言う音が混じる。
躰が重い。
視界が ちかちか光り、白や黒へ暗転する。
口から溢れた鮮血が、顎を伝い床に落ち、
足元を滑らした。
「……それでも……っ!」
最早、死にたいとは思わなかった。
今迄の人生は流されてばかりで、
他者を殺す事で命を繋ぐ事しか出来なくて、
誰も信じられなくて、
誰からも愛されなくて。
それでも、こんな俺の帰りを
待っていてくれる親友が居る。
好きだと言ってくれた女性が居る。
――君に、伝えたい。
「……伝える迄は……死なない……っ!」
感情を殺せば良いと思っていた。
そうすれば楽だと思っていた。
それしか出来ないと思っていた。
それが――家族を護る
唯一の方法だと信じていた。
けれど。
そんなの、死ぬ迄 続けられる訳が無い。
もう、他者を騙すのも、
自分に嘘を つくのも、嫌だ。
だから。
我儘に なっても、良いだろうか、


