「スパイは、お前達が知っている通り、
帝国が戦争に勝つ為に生み出した職業だ。
主な活動は、
王国へ荷担する貴族の暗殺や、
平民の弾圧、
砂漠の開拓、
王国への侵入、等だ。」
「色々やってんのね。」
刹那が呆れたように息を吐く。
「スパイは、その職業柄、
妻帯を許されていない。
万が一 王国に家族を人質に取られ、
帝国を裏切るような事が在ったら、
脅威と成り得るからだ。
そう言う教育を受ける。」
「妻帯を許されないんじゃ、
帝国の人口は減る一方じゃない?」
刹那の問いに、首を横に振る。
「それは無い。
スパイは ある程度の年齢に なると、
決められた女性と結婚し、
子を2人以上 作る事を強制される。」
俺の言葉に、3人は押し黙った。
「スパイの子供は、
男性ならスパイにしか なれない。
女性なら成長した後に
スパイと結婚させられる。」
「つまり、スパイは ある枠組みの中だけで
作られているって事ね?」
「ああ。」
頷くと、瞬が口を開いた。
「それじゃあ、テューロの お父さんは、
スパイだったんだね。」
其処で簡単に頷ければ良かったものを、
俺は何故か固まってしまった。
「違うのかい?」
「頼む。それは、訊かないでくれ。」
そうだと言えば全て話すと言ったのに
嘘を つく事に なるし、
違うと言えば“特例”の事について
話さなければ ならなくなる。


