所長室を出た後、俺達3人は、
責任者であるリティリーの部屋へ行った。
この管理所には、
凡そ500人のスパイが居る。
共に生活し、訓練に励んでいても
顔見知りでない人間は沢山 居る。
リティリーともフェイルとも、
初対面だった。
リティリーの部屋で、
俺達は向かい合って座った。
「おい、お前。」
最初に口を開いたのは、
フェイルだった。
黄色の瞳は何処か小馬鹿に するように
俺を睨んでいる。
「お前、幾つだよ?」
スパイの多くは、
20歳を超えている者が多い。
帝国にはスパイに なる技術を学ぶ
“スパイ育成所”と言う物が在り、
通常は10歳で入学する。
其処の卒業試験は難しい為、
卒業する時には
20歳を超えている者が殆どだ。
若い俺の容姿を見て
不思議に思ったのだろうか。
フェイルは そう訊いて来た。
「……16だが。」
答えると、彼の瞳が大きく見開かれた。


