自らの胸の内を吐き出したテューロは、
不意に あたしを真っ直ぐに見つめた。
「だから、死のうとした。
それが許されないのなら、
刹那、君が俺を殺してくれっ!!」
「……あたし……。」
1人の人間の命が、
あたしの言葉1つで無くなるなんて。
大きな責任に、躰が震えた。
「……あたし……
あんたを失いたくない……。」
気が付くと、そう言っていた。
虚を突かれたような顔で、
目を見開くテューロから目を背けて、
あたしは逃げ出した。
都合が悪くなると逃げてしまうのは
あたしの悪い癖だけど、
あたしは、気付いてしまったから。
自分の気持ちに。
気付いちゃ いけなかった、
気持ちに。
今迄、囚人が泣いていても、
感じたのは軽蔑だけだった。
自分で しでかした事なのに、
泣くなんて馬鹿みたいだと
思っていたから。
けれど。


