「これを……親父が……?」
驚く瞬の言葉に、
テューロが歯を喰い縛る。
「……俺は、物じゃない……。」
震える声で呟いたテューロの瞳から、
再び涙が流れる。
大人びていると思っていた彼も、
やっぱり あたし達と同じ子供なんだ。
ずっと、我慢を してたから、
吐き出したら止まらなくなる。
泣いているテューロは、
15、6歳の平凡な少年にしか、
見えなかった。
「けど、スパイに なって
この国に来て、
捕まったのは、
自業自得でしょ?」
思った事を素直に口に出来る
日里の言葉に、
何故か あたしの胸が
ずきんと痛んだ。
「……お前達はさ、
選べる選択肢が無くなった事が、
在るのか?」
テューロは、
自嘲的な笑みを浮かべた。


