Loneliness








「テューロ、どうしたんだよ?
元気ねェじゃん!」



所長室から出て食堂へ戻った俺に、
レンドが声を掛けた。



「……別に。」


「嘘付け。
で? 今度は どんな仕事なんだ?」



不機嫌な顔を して珈琲を飲む
俺の様子なんか お構い無しに、
レンドは にやにやと笑いながら
頬杖を付く。



……頭の中は お花畑で一杯なようで
何よりだ。



「……王国へ行く。」



珈琲を一口 飲み、小さな声で呟くと、
レンドは、え、と固まった。



「……王国?」


「ああ。
恐らく もう、帰って来れない。」


「嘘だろ……。」



レンドは深く溜め息を つくと俯き、
頬杖を していた両手を額に当てた。



今迄、王国へスパイに行った人間は、
1週間も経たずに死体と なった。



かの王立騎士団が、
王都に侵入したスパイを見付けだし、
始末したからだ。



その死体は
管理所へ送られて来る事が多い。
俺もレンドも、それは何度も見て来た。