「おら、詰めろよ。俺が座れねぇだろうが」


 どかりと腰を下ろせば、毛布にくるまった頭の足りない女が身を寄せてくる。

ぐずぐずと鼻を鳴らして、泣いている。

痣だらけの腕を、息子の体にまわしてくる。


 男は女を母だと思ったことはなかった。

馬鹿な女だと、いや可哀想な女だと思っていた。


だから、