ひょいっと薄茶色の頭が上がった。
まだ子どもらしさの色濃く残る顔立ちが、好奇心を押さえ切れないように門川君を見上げる。
「凍雨(とうう)君?」
「はい。凍雨と申します」
「良い名だね。とても」
ニコリ。
幼い顔が嬉しさを隠し切れずに微笑んだ。
それを見た門川君も穏やかに微笑む。
――シュウウゥ・・・
この空間全体を覆っていた冷気と霜が一気に引いていった。
床も柱もまったく元通り。
まるで嘘のように湿り気ひとつ残さずに回復する。
「凍雨君、立ってくれたまえ」
「・・・・・・」
「いいから気にせず、立ってくれ」
軽やかに立ち上がる少年と門川君が向き合って立つ。
頭ひとつ分ほど低い相手に、門川君が熱心に話しかけた。
「会えて嬉しく思う。よく来てくれたね」
「こちらこそお会いできて光栄です」
元気に返す声は、どこまでも素直そうで明るい。
「当主様がお出掛けになると聞いて、お見送りをしなければと参りました」
「そうか。それはありがとう」
「あの、当主様、ごめんなさ・・・いえ、申し訳ございません」
「? なんの謝罪かな?」
「今回の外出は『就任の儀』の不手際を解決するためですよね?」
小首を傾げて凍雨君が聞いた。
まだ子どもらしさの色濃く残る顔立ちが、好奇心を押さえ切れないように門川君を見上げる。
「凍雨(とうう)君?」
「はい。凍雨と申します」
「良い名だね。とても」
ニコリ。
幼い顔が嬉しさを隠し切れずに微笑んだ。
それを見た門川君も穏やかに微笑む。
――シュウウゥ・・・
この空間全体を覆っていた冷気と霜が一気に引いていった。
床も柱もまったく元通り。
まるで嘘のように湿り気ひとつ残さずに回復する。
「凍雨君、立ってくれたまえ」
「・・・・・・」
「いいから気にせず、立ってくれ」
軽やかに立ち上がる少年と門川君が向き合って立つ。
頭ひとつ分ほど低い相手に、門川君が熱心に話しかけた。
「会えて嬉しく思う。よく来てくれたね」
「こちらこそお会いできて光栄です」
元気に返す声は、どこまでも素直そうで明るい。
「当主様がお出掛けになると聞いて、お見送りをしなければと参りました」
「そうか。それはありがとう」
「あの、当主様、ごめんなさ・・・いえ、申し訳ございません」
「? なんの謝罪かな?」
「今回の外出は『就任の儀』の不手際を解決するためですよね?」
小首を傾げて凍雨君が聞いた。


