神様修行はじめます! 其の三

あーもーゴチャゴチャめんどくさい!


なんでこう、もっと物事を単純に運べないかなー!?


「だったらさ、門川君が取りに行けばいいじゃん?」


あたしは自分のヒザをパーンと叩いて提案した。


向こうが来ないんなら、こっちから行けばいいだけの話じゃん。


んで、直接手渡ししてもらえばいいんだよ!


それでOK! 万事解決! でしょ?


ニコニコ笑顔で皆の顔を見回した。


でもみんなは顔を見合わせて、無言のまま。


・・・なに? どしたの?


「小娘よ、ほんにお前はお気楽じゃのぉ」

「なにが??」


叩いたヒザをさすっているあたしを見ながら、絹糸が溜め息をつく。


「そんな事ができるわけがあるまい」


「なんで? そんな遠い場所なの?」


「距離の問題ではない。永久は門川の当主じゃぞ?」


「知ってるよ?」


「当主がわざわざ、家来の元へ足を運ぶなど聞いた事もないわ」


「体面というものがございますからね」


体面って・・・


「そんなこと言ってらんないじゃん」


「らんないじゃんも何も、お前はまたそんな事を・・・」


絹糸はますます呆れ顔になった。


「小娘、お前は・・・」

「いや、天内君の言う通りだよ」

「永久?」


絹糸が怪訝そうに門川君を見る。


門川君は手紙をテキパキとたたみ、無表情に淡々と言った。


「僕が直接行こう。それが道理だ」