しま子の大きな体は、赤い花柄の綿入れハンテンにぬくぬくと包まれている。
あたしが用意して着せてあげたの。
だってこの雪景色の中、トラ縞パンツ一丁じゃ可哀想だもんね。
「花柄ハンテン姿の鬼も、同じくらい可哀想だと思うがのぉ」
「ハンテンだけじゃなくてニット帽にも注目して! あれも可愛いでしょ?」
「・・・・・」
あのニット帽もあたしが用意してあげたの。
だってしま子、ツノは生えてても毛は一本も生えてないんだもん。
じー様、よく言ってたもんなぁ。
年々薄くなる頭に冬の木枯らしはキツイって。
やっぱり頭の防寒は重要よね。あの大きな毛糸ボンボンがポイントよ!
得意になるあたしに、絹糸は半目になってスタスタ先に歩き出した。
ちょっとー、なによその無言の抗議は。
ブーツで足元の雪を踏みしめながら、あたしは慌てて後を追った。
しま子もハンテンの袖をパタパタさせながら、上機嫌で追いかけてくる。
冬の日本庭園。
庭木も、建造物も、全てが白い雪にすっぽり覆われている。
わずかばかりの色彩はあっても、ほとんど墨絵の世界だ。
白と黒の濃淡の世界。
鏡のようだった大きな池の色も、くすんだ灰色になって。
庭の中で、唯一鮮やかな色彩の錦鯉たちが・・・
錦鯉たちが・・・・・。
池に張られた氷の上を、スピードスケート選手ばりの勢いでビュンビュン滑走している・・・。
あたしが用意して着せてあげたの。
だってこの雪景色の中、トラ縞パンツ一丁じゃ可哀想だもんね。
「花柄ハンテン姿の鬼も、同じくらい可哀想だと思うがのぉ」
「ハンテンだけじゃなくてニット帽にも注目して! あれも可愛いでしょ?」
「・・・・・」
あのニット帽もあたしが用意してあげたの。
だってしま子、ツノは生えてても毛は一本も生えてないんだもん。
じー様、よく言ってたもんなぁ。
年々薄くなる頭に冬の木枯らしはキツイって。
やっぱり頭の防寒は重要よね。あの大きな毛糸ボンボンがポイントよ!
得意になるあたしに、絹糸は半目になってスタスタ先に歩き出した。
ちょっとー、なによその無言の抗議は。
ブーツで足元の雪を踏みしめながら、あたしは慌てて後を追った。
しま子もハンテンの袖をパタパタさせながら、上機嫌で追いかけてくる。
冬の日本庭園。
庭木も、建造物も、全てが白い雪にすっぽり覆われている。
わずかばかりの色彩はあっても、ほとんど墨絵の世界だ。
白と黒の濃淡の世界。
鏡のようだった大きな池の色も、くすんだ灰色になって。
庭の中で、唯一鮮やかな色彩の錦鯉たちが・・・
錦鯉たちが・・・・・。
池に張られた氷の上を、スピードスケート選手ばりの勢いでビュンビュン滑走している・・・。


