神様修行はじめます! 其の三

『おかえり』

何気ない普通の挨拶。


でも、あたしを排除しようとしている門川の裏事情を知った今・・・その言葉がとても大きく感じられる。


何も言わずに、あたしを守ってくれていた門川君。


あの日の彼の言葉が甦る。


『離れていても心はひとつ。生涯君を離さない』


何も知らなくてゴメンね。


まだまだ頼りない護衛役で、ごめんなさい。


あたしのせいで辛い思いをさせてしまって、ごめんなさい。


それと・・・本当にありがとう・・・。


口に出してちゃんと伝えたいけど、言えない。


ここじゃみんなの目もあるし。


それに多分、彼は素直に感謝の言葉を受け入れないと思う。

そういう性格だもん。


だからあたしは、ただこう答えた。

「ただいま。門川君」


あたし、帰ってきたよ。ここへ。

あなたの元へ。


門川君。門川君・・・。


門川君は涼しげな瞳に微笑をたたえて、あたしにうなづいた。


あたしは胸いっぱいの気持ちを、再びそのひと言へ込める。


ごめんねと、ありがとうと・・・大好きだよって気持ちを。


はちきれそうな位の、この膨らんだ気持ちを。


「ただいま。ただいま門川く・・・」


――スパ―――――ンッ!!


そのとき凄まじい勢いで襖が開き、何かの物体が猛スピードで突っ込んできた。