神様修行はじめます! 其の三

彼にそんな風に優しくされて、嬉しいような。


力不足の自分が、情け無いような。


心の片隅がぽぅっと温まるようで、反対に、ちょっぴり悲しいようで。


もどかしい感情に心を掻き乱される。


きゅん、と痛い。

でもちょっぴり幸せ。この不思議な疼き。


あたしの人生で、今まで知らなかった感覚。


あぁ、あたし本当に彼の事が・・・


好き、だなぁ・・・・・・。


渡り廊下を歩き、広大な庭に降りしきる雪を見上げながら思う。


なんか、照れちゃうな。えへへ。


今この状況でこんな事を考えるのって不謹慎なんだろうけど。


そうだよね。浮かれすぎちゃダメだ。


過ぎたるはお呼びじゃない、だったっけ?


マイペース! 平常心!

適度に気を引き締めながら、ダランと緩めていこう!


「ねぇお岩さん、そういえばジュリエッタ達は?」


あたしは雪の積もった庭を見渡しながら聞いた。


お岩さんご自慢の、巨大ミミズの親衛隊はどうしてるのかな?


「この時期ですもの。あの子達は出てこられませんわ」


「え? じゃあ冬場は親衛隊無し?」


「おりますわよ、ちゃんと。冬季専門の自慢の子達が」


お岩さんの両目がキラキラと輝きだす。


冬季専門の親衛隊?


「どこに?」


・・・しまった! うっかり聞いちゃった!