神様修行はじめます! 其の三

凍雨君の姿が、氷血一族全ての人の姿に重なる。

凍える冬を乗り越え、春を掴んだ全ての人に。


そうだ。この世は・・・

夢にも思わない事が、現実に起きる世界なんだ。


それが良い事ばかりとは限らない。

だって、世界は不公平だから。

不運に見舞われ、罪を犯し、喘ぎ苦しむ時が来る。

誰にでもいつか必ず。でも・・・。


あたしは、視線を巡らす。

その先には、皆が居た。


絹糸。しま子。

お岩さん。セバスチャンさん。

塔子さん。マロ。

みんな笑顔だ。

罪を犯し、むせび泣いた日を乗り越えて、彼らは笑っている。

夢にも思わなかった、『明日』を手に入れた人達。


『また明日』と言える今日。

そして、今日のこの日も、世界のどこかに罪が在る。

人は苦しみ、誰かを傷つけ、悔やみ、泣いて・・・

いつか癒しが在って、救いが在る。

その繰り返し。


明日は未来。

あたし達が信じる未来だ。

そこに希望も救いもあると信じられる。

だって、たまきさんが身をもって示してくれたから。