神様修行はじめます! 其の三

と、認識した時にはもう、彼の顔とあたしの顔の距離は20センチ。

間違いない!

彼は、確実に狙ってきてる!

あたしの唇を狙ってきてる!


ガッと顔中の血管に血液が集結した。

心臓がバックバック動悸を打って、今にも飛び出しそう!

キス。キス。キス。

キス、の二文字が頭の中をリフレイン。


門川君が、あたしにキスしようとしてる。

そんな、そんな、どうしよう!

心の準備がまだ全然できてなあぁーい!


嬉しいのか驚いてるのか怖いのか、自分でもまったく分からなくて、気を失ってしまいそう。

だってこれが、あたしの初めてのキスなんだもん。

ファーストキスなんだもん!


寸分の狂いも無く、顔を接近させてくる門川君。

でもこのままの角度だと、唇より先に鼻同士がくっつきそうだよなー・・・とか、余計なこと考えている間にも、どんどん彼は接近してくる。


閉じられた目蓋を飾る、長い睫毛。彫刻のような鼻梁。

そして・・・彼の唇、が・・・。


目を閉じる余裕すらない。

彼の吐息が、もう、あたしの唇にかかって。

もう、近すぎて、彼の顔も見えなくて。


皮膚、が

体温、が


あ・・・

あ、あ・・・・・