神様修行はじめます! 其の三

「もしもし門川君? あの、どうかしましたか?」

「天内君、結婚というものは、幸せなのだろうか?」

「はい?」

「ひょっとしたら僕の結婚観というものは、何か欠落があるのかもしれない」

「ほへ?」

「結婚相手とは、共同経営者という意味だけではないのか?」


・・・・・・。

うわー、珍しい。

門川君が常識を学んでる・・・。


なるほど、塔子さんとマロの、らぶらぶパワーに感化されたんだ。

それで自分の結婚観に疑問を持ったわけね?

いや、これは実に良い傾向だわ!

上層部からのゴリ押し政略結婚から、彼を守るチャンスだ!

よし! この勢いに乗るんだ!


「そうなんだよ門川君! そのとーり!」

「ふむ、やはりそうか」

「そうそう!」

「ならば、間違った認識は速やかに訂正しなければならない。だが正直、僕には結婚というものが、まだ良く理解できないんだ」

「大丈夫! 糸口は掴んだんだから、後はそれを引っ張りゃいいだけよ! あたしも協力は惜しみませんので!」

「協力してくれるのか?」

「そりゃもー! 協力でも協賛でもなんでも!」

「それはありがたい! セバスチャンの言う通りだな!」


ほへ?

あたしは首をカクッと傾げた。


「セバスチャンさんがどうかしたの?」

「実は彼に相談したんだよ。僕の結婚観の悩みを」

「・・・で?」

「彼は即答してくれた。天内君がいれば、すぐにでも僕は、正しい結婚観が得られるだろうと言っていた」

「??」


あたしがいれば?
なにそれ、どゆ意味?

だって今までも、あたしは彼のそばにいたんですけど。

そんで、彼のズレた世界観に完敗し続けてきたんですが?