雛型本人に会うことはできないから、彼は、雛型の分身である座り女に会いに行った。
毎日、毎日、来る日も来る日も。
一日も休まず欠かさず、彼は座り女の元へ通った。
雛型の罪が許され、戻ってくる日は来ない。
それは夫も知っているはず。
でもそんな事、関係なかったんだろう。
愛する人と交わした誓いを守る。
それだけが、彼の生きる理由だったんだろう。
朝日と共に起き、わずかばかりの日銭を稼ぎ、座り女の元へ行く。
そして向かい合い、ひたすら座り女を眺め続けて、時を過ごす。
当然、座り女は無言のまま。
身動きひとつしない。
夫は何の反応も無い相手に、ぽつりぽつりと話しかけていた。
そして、そのまま日は沈み・・・辺りが暗くなる頃、ようやく彼は腰を上げて家に戻る。
『また明日も迎えに来るよ』
必ず、そう言い残して。
毎日が。その繰り返し。
なんの変化もない日々。
一日、一日、繰り返し過ぎていく。
そして・・・
彼は、歳を取っていく。
黒かった髪が、霜が降るように白く染まった。
それでも、彼は座り女の元へ行く。
若く張った皮膚に、深く細かい皺が寄った。
それでも、彼は座り女と向かい合う。
真っ直ぐだった腰が、枯れ枝のように曲がった。
それでも、彼はひたすら座り女を見続ける。
足が悪くなり
歩くのもおぼつかなくなり
老いさらばえ、弱り、それでも・・・
それでも杖をつき、ヨロヨロと彼は通い続けた。
座り女を、愛する妻を迎える日のために。
そして、さらに時は過ぎて・・・
ある日夫は、ついに愛する妻の前に倒れ、動けなくなる。
寿命が・・・訪れたのだ。
それでも、彼の唇だけは動いていた。
『た、ま、き・・・』
たまき。
玉、極まる。
命極まり果て、この世の果てまでも。
それが雛型の、名・・・・・・。
毎日、毎日、来る日も来る日も。
一日も休まず欠かさず、彼は座り女の元へ通った。
雛型の罪が許され、戻ってくる日は来ない。
それは夫も知っているはず。
でもそんな事、関係なかったんだろう。
愛する人と交わした誓いを守る。
それだけが、彼の生きる理由だったんだろう。
朝日と共に起き、わずかばかりの日銭を稼ぎ、座り女の元へ行く。
そして向かい合い、ひたすら座り女を眺め続けて、時を過ごす。
当然、座り女は無言のまま。
身動きひとつしない。
夫は何の反応も無い相手に、ぽつりぽつりと話しかけていた。
そして、そのまま日は沈み・・・辺りが暗くなる頃、ようやく彼は腰を上げて家に戻る。
『また明日も迎えに来るよ』
必ず、そう言い残して。
毎日が。その繰り返し。
なんの変化もない日々。
一日、一日、繰り返し過ぎていく。
そして・・・
彼は、歳を取っていく。
黒かった髪が、霜が降るように白く染まった。
それでも、彼は座り女の元へ行く。
若く張った皮膚に、深く細かい皺が寄った。
それでも、彼は座り女と向かい合う。
真っ直ぐだった腰が、枯れ枝のように曲がった。
それでも、彼はひたすら座り女を見続ける。
足が悪くなり
歩くのもおぼつかなくなり
老いさらばえ、弱り、それでも・・・
それでも杖をつき、ヨロヨロと彼は通い続けた。
座り女を、愛する妻を迎える日のために。
そして、さらに時は過ぎて・・・
ある日夫は、ついに愛する妻の前に倒れ、動けなくなる。
寿命が・・・訪れたのだ。
それでも、彼の唇だけは動いていた。
『た、ま、き・・・』
たまき。
玉、極まる。
命極まり果て、この世の果てまでも。
それが雛型の、名・・・・・・。


