みんな仲良く揃ってゾロゾロ歩き出す背中に、裏返った叫び声が投げられた。
「・・・・・・ちょっと!!」
塔子さんがピクピクと頬を引きつらせて叫んでる。
「話の最中なのに、完全放置!? 失礼にもほどがあるわ!」
・・・・・・あ。
すっかり忘れてた。この人の事。
そういえばかなりシリアスな状況だった。
お岩さん旋風で、一気にそんな空気も何も吹っ飛んじゃったけど。
「まあ塔子さん。お久しぶりですわ」
お岩さんが大量のフリルに飾られた胸を張り、一歩前へ出る。
「お元気でいらしたかしら?」
「・・・お久しゅうございます。権田原当主様」
塔子さんが一変して無表情を装い、丁寧にお辞儀をする。
乙女会の皆が揃って深々と腰を曲げた。
そっか。お岩さんも以前は乙女会の一員だったんだ。
その頃は、年長の塔子さんの方が権力者だったんだろうな。
今では一族の当主に就任したお岩さんの方が立場が上だけど。
「お変わりないようね。何よりですわ」
「権田原当主様も、相変わらずの・・・」
塔子さんが頭を下げたまま、チラッと視線を上げる。
「大変に素晴らしいご洋装。感服いたします・・・」
そしてクスッと口元を曲げた。
「ありがとう。塔子さんも素晴らしいですわ。その『振袖』」
「おほめにあずかりまして・・・」
「毎年毎年、必ず新調なさるのでしょう? 『振袖』を」
「・・・はい」
「歳を重ねるごとに、豪華な『振袖』になりますわね」
「・・・・・・・・・・・・」
「毎年、拝見するのが楽しみでしたわ。あなたの新調した『振袖』を」
「・・・・・・ちょっと!!」
塔子さんがピクピクと頬を引きつらせて叫んでる。
「話の最中なのに、完全放置!? 失礼にもほどがあるわ!」
・・・・・・あ。
すっかり忘れてた。この人の事。
そういえばかなりシリアスな状況だった。
お岩さん旋風で、一気にそんな空気も何も吹っ飛んじゃったけど。
「まあ塔子さん。お久しぶりですわ」
お岩さんが大量のフリルに飾られた胸を張り、一歩前へ出る。
「お元気でいらしたかしら?」
「・・・お久しゅうございます。権田原当主様」
塔子さんが一変して無表情を装い、丁寧にお辞儀をする。
乙女会の皆が揃って深々と腰を曲げた。
そっか。お岩さんも以前は乙女会の一員だったんだ。
その頃は、年長の塔子さんの方が権力者だったんだろうな。
今では一族の当主に就任したお岩さんの方が立場が上だけど。
「お変わりないようね。何よりですわ」
「権田原当主様も、相変わらずの・・・」
塔子さんが頭を下げたまま、チラッと視線を上げる。
「大変に素晴らしいご洋装。感服いたします・・・」
そしてクスッと口元を曲げた。
「ありがとう。塔子さんも素晴らしいですわ。その『振袖』」
「おほめにあずかりまして・・・」
「毎年毎年、必ず新調なさるのでしょう? 『振袖』を」
「・・・はい」
「歳を重ねるごとに、豪華な『振袖』になりますわね」
「・・・・・・・・・・・・」
「毎年、拝見するのが楽しみでしたわ。あなたの新調した『振袖』を」


