「雛型は、あの中におりまする」
マロの視線の先には、あの赤い布に覆われた小さな建物がある。
最初にマロが出てきた、あの場所だ。
「あの布の中へ進めば、雛型と会えましょう」
「そうか。それでは典雅殿、後は任せた」
「はい。・・・永久殿、絹糸殿、天内殿」
マロは真剣そのものの顔で、あたし達を食い入るように見た。
その目には、深い後悔の念が刻まれている。
「どうか雛型を頼みまする。導いてくだしゃりませ」
「分かっておる。案ずるな」
絹糸が深く頷いて、マロが安心したような、悲しそうな、複雑な表情で頭を下げた。
大丈夫だよマロ。
ちゃんと雛型を連れて戻って来るからね。
「では皆、行こう。雛型の元へと」
あたし達は揃って、小屋へと歩き出した。
あの酸の海にも、あたしの滅火の炎にもビクともせずに、小屋はポツンと建っている。
ほんっと凄いなー。マロの結界術って。
・・・なんか負けたみたいで、ちょっと悔しいな。
小屋の前に並んで立ち、門川君が赤い布をゆっくりとめくり上げると、中は・・・真っ暗だった。
まさに暗黒。明かりひとつ無い真っ暗闇で、奥行きも、幅も、なにひとつ窺えない。
停電になった時の室内よりも、視界不良で危険だよ。
「では、行くとするかのぅ」
「こんな暗くて大丈夫かな? やみくもに進んで、タンスとか家具にぶつかったら危ないよ」
「生活空間と違うわい。我の後に続け」
先導してくれる絹糸に続き、門川君があたしの手を握って、建物の中へと入った。
彼に引っ張られながら後ろを振り返ると、マロがこっちをじっと見ている。
大丈夫だよ。心配しないで待っててね。
みんなをよろしくね。
あたしはマロに笑顔を見せて、赤い布をくぐった。
マロの視線の先には、あの赤い布に覆われた小さな建物がある。
最初にマロが出てきた、あの場所だ。
「あの布の中へ進めば、雛型と会えましょう」
「そうか。それでは典雅殿、後は任せた」
「はい。・・・永久殿、絹糸殿、天内殿」
マロは真剣そのものの顔で、あたし達を食い入るように見た。
その目には、深い後悔の念が刻まれている。
「どうか雛型を頼みまする。導いてくだしゃりませ」
「分かっておる。案ずるな」
絹糸が深く頷いて、マロが安心したような、悲しそうな、複雑な表情で頭を下げた。
大丈夫だよマロ。
ちゃんと雛型を連れて戻って来るからね。
「では皆、行こう。雛型の元へと」
あたし達は揃って、小屋へと歩き出した。
あの酸の海にも、あたしの滅火の炎にもビクともせずに、小屋はポツンと建っている。
ほんっと凄いなー。マロの結界術って。
・・・なんか負けたみたいで、ちょっと悔しいな。
小屋の前に並んで立ち、門川君が赤い布をゆっくりとめくり上げると、中は・・・真っ暗だった。
まさに暗黒。明かりひとつ無い真っ暗闇で、奥行きも、幅も、なにひとつ窺えない。
停電になった時の室内よりも、視界不良で危険だよ。
「では、行くとするかのぅ」
「こんな暗くて大丈夫かな? やみくもに進んで、タンスとか家具にぶつかったら危ないよ」
「生活空間と違うわい。我の後に続け」
先導してくれる絹糸に続き、門川君があたしの手を握って、建物の中へと入った。
彼に引っ張られながら後ろを振り返ると、マロがこっちをじっと見ている。
大丈夫だよ。心配しないで待っててね。
みんなをよろしくね。
あたしはマロに笑顔を見せて、赤い布をくぐった。


