「里緒、もう今しかないから、あんたにも謝罪・・・」
「聞かない!」
「いろいろ、辛い思いをさせてしまっ・・・」
「わーわーわー! 聞こえないー!」
あたしは両耳を塞ぎ、大声を出して首を振った。
最後の謝罪の言葉なんか聞かない。受け入れるもんか。
だって・・・
「だって塔子さんは死なないもの!」
「里緒・・・」
「塔子さんは死んじゃダメなんだ! あたしがきっと助けるんだから!」
叫んだ拍子に涙がこぼれた。
あたしは歯を食いしばり、唸り声を上げながらほふく前進する。
絶対に死なさないよ! こんな間違い、許すもんか!
腕からも足からも力が抜けて、怪我した両腕から血が流れて、痺れて、感覚が無くなって、まともに動けなくても。
・・・それでも諦めない! それでもあたしは諦めない!
あたしは頬を地面に押し当てて動かし、ザリザリと土を掻く。
手足のかわりに、頭だけでも動かして先に進もうとした。
必死だった。無我夢中だった。
なりふりなんてかまってられない。可能も不可能もない。
やるんだ! やれ!
「塔子さんをあたしが助けて、これからも一緒に生きていくんだからー!」
「里緒・・・」
小さな、囁き声。
それは今まで、聞いた事もないような優しい声だったから、あたしは思わず塔子さんを見上げる。
死に瀕した彼女は、信じられないぐらい穏やかな表情で、優しくあたしを見つめていた。
「ごめんなさいね・・・里緒」
その言葉と同時に、塔子さんの片足が動いた。
足元のマロを、最後の力を振り絞って思い切り蹴り上げる。
マロの体はポーンと弧を描き、あたしの隣にドサリと落ちた。
そして・・・
バランスを崩した塔子さんの体は、ついに・・・
ついに、あたしの目の前でガレキに押し潰され、見えなくなった。
「聞かない!」
「いろいろ、辛い思いをさせてしまっ・・・」
「わーわーわー! 聞こえないー!」
あたしは両耳を塞ぎ、大声を出して首を振った。
最後の謝罪の言葉なんか聞かない。受け入れるもんか。
だって・・・
「だって塔子さんは死なないもの!」
「里緒・・・」
「塔子さんは死んじゃダメなんだ! あたしがきっと助けるんだから!」
叫んだ拍子に涙がこぼれた。
あたしは歯を食いしばり、唸り声を上げながらほふく前進する。
絶対に死なさないよ! こんな間違い、許すもんか!
腕からも足からも力が抜けて、怪我した両腕から血が流れて、痺れて、感覚が無くなって、まともに動けなくても。
・・・それでも諦めない! それでもあたしは諦めない!
あたしは頬を地面に押し当てて動かし、ザリザリと土を掻く。
手足のかわりに、頭だけでも動かして先に進もうとした。
必死だった。無我夢中だった。
なりふりなんてかまってられない。可能も不可能もない。
やるんだ! やれ!
「塔子さんをあたしが助けて、これからも一緒に生きていくんだからー!」
「里緒・・・」
小さな、囁き声。
それは今まで、聞いた事もないような優しい声だったから、あたしは思わず塔子さんを見上げる。
死に瀕した彼女は、信じられないぐらい穏やかな表情で、優しくあたしを見つめていた。
「ごめんなさいね・・・里緒」
その言葉と同時に、塔子さんの片足が動いた。
足元のマロを、最後の力を振り絞って思い切り蹴り上げる。
マロの体はポーンと弧を描き、あたしの隣にドサリと落ちた。
そして・・・
バランスを崩した塔子さんの体は、ついに・・・
ついに、あたしの目の前でガレキに押し潰され、見えなくなった。


