永久様。
幼い頃から、あなた様が味わい尽くした辛酸の日々。
その根源は、私の母。
そして私は、地獄の日々に泣き叫ぶあなた様を餌食に、甘い汁を吸い続けてきた。
償わなければならない。
私は、なんとしてでも償わなければならないのです。
そして、ようやく・・・
「ようやく今、その時を迎える事ができました」
「・・・・・・」
「この命を捨てて、あなた様をお守り申し上げます」
―― ズゥ・・・!
ガレキが大きく傾き、塔子さんの姿勢が崩れた。
塔子さんが体を折り曲げ、ほとんど二つ折り状態になって踏ん張りとおす。
全身の力が限界に達したのか、手も足も、頭も全部が病気のように震えている。
彼女の腹の辺りから、血がボタボタと地面に落ちて、大きく開いた口からは、ゼエゼエとノドを鳴らす呼吸の音が響く。
カッと睨む目は真っ赤に充血し、まさに苦悶の、断末魔を迎える者の姿。
なのに倒れる事も許されず、その身を潰すほどの大きなものを支え立ち続ける。
それでも彼女は、必死に耐える。
まだ自分には、果たさねばならない役目があるのだから。
「塔・・・!」
「永久! 治癒の手を緩めるでない!」
思わず体の向きをこちらに向けかけた門川君が、絹糸の叱責に慌てて姿勢を元に戻した。
塔子さんを助ける余裕は、今の彼には無い。
全力を治癒に使わなければ、しま子も凍雨君も助からない。
横目で塔子さんの状態を確認する彼の目は焦燥していた。
あたしは再びほふく前進を試みたけれど、内心の必死さとは裏腹に、ノロノロとしか進まない自分に死ぬほど腹が立った。
動け! 進め! もっと早く早く!
「塔子さん、今いくから頑張って!」
「ようやく・・・私の罪を償う事が叶います・・・永久様」
「バカ言わないでよ! なにが塔子さんの罪だって言うのさ!」
幼い頃から、あなた様が味わい尽くした辛酸の日々。
その根源は、私の母。
そして私は、地獄の日々に泣き叫ぶあなた様を餌食に、甘い汁を吸い続けてきた。
償わなければならない。
私は、なんとしてでも償わなければならないのです。
そして、ようやく・・・
「ようやく今、その時を迎える事ができました」
「・・・・・・」
「この命を捨てて、あなた様をお守り申し上げます」
―― ズゥ・・・!
ガレキが大きく傾き、塔子さんの姿勢が崩れた。
塔子さんが体を折り曲げ、ほとんど二つ折り状態になって踏ん張りとおす。
全身の力が限界に達したのか、手も足も、頭も全部が病気のように震えている。
彼女の腹の辺りから、血がボタボタと地面に落ちて、大きく開いた口からは、ゼエゼエとノドを鳴らす呼吸の音が響く。
カッと睨む目は真っ赤に充血し、まさに苦悶の、断末魔を迎える者の姿。
なのに倒れる事も許されず、その身を潰すほどの大きなものを支え立ち続ける。
それでも彼女は、必死に耐える。
まだ自分には、果たさねばならない役目があるのだから。
「塔・・・!」
「永久! 治癒の手を緩めるでない!」
思わず体の向きをこちらに向けかけた門川君が、絹糸の叱責に慌てて姿勢を元に戻した。
塔子さんを助ける余裕は、今の彼には無い。
全力を治癒に使わなければ、しま子も凍雨君も助からない。
横目で塔子さんの状態を確認する彼の目は焦燥していた。
あたしは再びほふく前進を試みたけれど、内心の必死さとは裏腹に、ノロノロとしか進まない自分に死ぬほど腹が立った。
動け! 進め! もっと早く早く!
「塔子さん、今いくから頑張って!」
「ようやく・・・私の罪を償う事が叶います・・・永久様」
「バカ言わないでよ! なにが塔子さんの罪だって言うのさ!」


