神様修行はじめます! 其の三

幼い永久様。
お父上とお母上を亡くし、ご苦労なされている。
お気の毒なことだ。

・・・その程度だった。
その程度にしか思っていなかった。

自分とは関係のない、遠い話だと思っていた。


・・・違う。
関係ないどころか、永久様からお母上を奪ったのは、私の母だ。

淡雪様は死に、私の母は生きている。

そして豪華な屋敷に住んで、贅沢な生活をしている。


淡雪様は死んだのに。

淡雪様を殺したのに。


美しい衣装。豪勢な食事。皆の羨望。
全て・・・
全て、淡雪様の命と永久様の犠牲のうえに成り立っていた。


淡雪様の流した血と、永久様の流した涙の上に、私はあぐらをかいてふんぞり返っていたのだ。


それ以来、私は変わった。
死に物狂いで修練を積み、鍛え、技を磨いた。

永久様をお守りするために。


私がこの手でお守りするのだ。
私の母の手が命を奪い、永久様から全てを奪った。

だからその代わりに、私のこの手で永久様をお守りすると誓おう。

その誓いが、望みが叶うなら、なにを犠牲にしてもかまわない。

私の一生も、私の命も、なにもかも全てを代償として支払う。


真実、自分の望みを叶える代償として、今度こそ私は私の払うべき正当な対価を支払うのだ。