ところが・・・ある日突然、その夢が現実となる。
なぜか怒涛の一族は、破格の待遇で門川の中枢に迎えられる事となった。
それからは生活がガラリと変化した。
大きくて立派な、御殿のような屋敷住まい。
目を見張るような贅沢な食事。
数えきれない豪勢な衣装と、ため息が出るような装飾品。
憧れていたもの、望んでいたものが全て叶った。
夢みたものがこの手に入ったのだ。
私は、有頂天だった。
門川乙女会で『塔子様』と呼ばれ、他の娘たちから頭を下げられる。
歩けば、皆が私に注目する。
私に憧れ、噂して、羨望の目で見上げる。
あの頃の私のように。
みじめったらしくて、みっともなかった私のように。
もう私は違う。あの頃の私ではない。
私は栄光を手に入れたんだ。
私は、選ばれた特別な者になったんだ!
世間は、門川当主の世襲で揉めていたようだけれど、私にはそんなこと関係なかった。
ただ、ひとつだけ。
母上の具合だけが、心配の種だった。
少し前、母上は大きな戦いに駆りだされて無事に生還して以来、どうにも体調が優れない。
怪我が回復しても、気分が優れず寝込んでばかり。
最近ではろくに家族に顔も見せず、寝所に篭もりっきりになっていた。
でも、きっと大丈夫だ。
湯水のように金を使い、普通では考えられないくらい贅沢な療養をしているのだもの。
すぐに治るに違いない。
そうだ、今度また何か、高価な見舞いの品でも贈るとしよう。
なぜか怒涛の一族は、破格の待遇で門川の中枢に迎えられる事となった。
それからは生活がガラリと変化した。
大きくて立派な、御殿のような屋敷住まい。
目を見張るような贅沢な食事。
数えきれない豪勢な衣装と、ため息が出るような装飾品。
憧れていたもの、望んでいたものが全て叶った。
夢みたものがこの手に入ったのだ。
私は、有頂天だった。
門川乙女会で『塔子様』と呼ばれ、他の娘たちから頭を下げられる。
歩けば、皆が私に注目する。
私に憧れ、噂して、羨望の目で見上げる。
あの頃の私のように。
みじめったらしくて、みっともなかった私のように。
もう私は違う。あの頃の私ではない。
私は栄光を手に入れたんだ。
私は、選ばれた特別な者になったんだ!
世間は、門川当主の世襲で揉めていたようだけれど、私にはそんなこと関係なかった。
ただ、ひとつだけ。
母上の具合だけが、心配の種だった。
少し前、母上は大きな戦いに駆りだされて無事に生還して以来、どうにも体調が優れない。
怪我が回復しても、気分が優れず寝込んでばかり。
最近ではろくに家族に顔も見せず、寝所に篭もりっきりになっていた。
でも、きっと大丈夫だ。
湯水のように金を使い、普通では考えられないくらい贅沢な療養をしているのだもの。
すぐに治るに違いない。
そうだ、今度また何か、高価な見舞いの品でも贈るとしよう。


