神様修行はじめます! 其の三

動けないなんて言ってられない! 動くんだ!

とにかくもう、必死に、両腕と両足をズリズリ地面に這わせ、ほふく前進する。

我ながら腹立つぐらいにノロい前進だけど、これしか出来ないんだから仕方ない。

進め! 進め! 進むんだあたし!

焦ったイモ虫状態のあたしをよそに、塔子さんがマロに話しかけている。


「マロ、聞こえる? 聞こえるなら、今すぐここから逃げなさい」
「・・・・・・」

苦しげな表情のマロが、無言で視線を塔子さんを睨みつけた。


「怪我して動けません、なんて甘ったれたこと言うのはナシよ。自力で逃げて。あのイモ虫がここに到着するまで、あたしの力はもたないわ」


そう言うなり、まるで証明するかのように、塔子さんの体制がガクッと崩れる。

あたしはヒッと息を飲み、片手を塔子さんに向けて思い切り伸ばして叫んだ。

「塔子さん! 塔子さんー!」
「ぐぅぅおおぉぉ・・・!」

鬼のような険しい真っ赤な顔で、彼女はなんとか踏みとどまった。

さっきよりも、さらに無理な体勢で巨大ガレキを支える彼女の額に、クッキリと青筋が盛り上がる。

傷口からは、音が聞こえんばかりにドクドクと血液が流れ出ていく。


「早く、逃げなさいマロ。あたしと心中するつもりなの?」

「い、ら、ぬ・・・敵の、情けなど、い、ら、ぬ・・・」

「安心して。あたしはあんたを救うわけじゃないから」

「な、に?」

「あたしは、永久様をお救いしたいだけ」

「どう、いう、意味、か?」

「理解力の足りない頭ね。あんたがここで死んでしまったら、永久様は自分の誓いを守れないのよ」

塔子さんの険しい顔が不敵に笑った。


「そしたら、永久様は救われないわ。あたしがそんな事には決してさせない。この命に代えてもね」