神様修行はじめます! 其の三

我が身に迫る危機も知らず、塔子さんは身動きひとつしない。

彼女を見下ろすマロの手が、大きく、ゆっくりと頭上に振り上がる。


マロは機械的な笑い声を発し続けていた。

あれは、マロの声じゃない。マロが笑っているわけじゃない。

あれは・・・あの女の笑い声だ。

あの因業ババが笑ってるんだ。


笑っている。
哀しい人を犠牲にして、自分の勝利を確信している。

人の・・・

人の意思と命と未来を食いものにして、自分だけ満足して、ゲラゲラ高笑いしていやがるんだ!


めちゃくちゃに怒りが込み上げた。

あたしの心臓がバクンと鳴って、全身の血液が熱く駆け巡る。

・・・ババ、断じて許すまじ!

そうだ、いけ! 熱くなれ天内の血!

あのウルトラ強欲因業ババの、耳障りな笑いを止めてやるっ!


―― ズキーン!

「うぐぅっ!?」

突然心臓が激しく痛んで、あたしは胸を押さえながら、その場にドサリと倒れこむ。

胸が・・・鼓動のリズムが完全に乱れて、信じられないほど息苦しい。

心臓が勝手に暴走している。自分でコントロールできない。
苦しい。苦しい!

心臓が全く正常に動いていない。
このまま鼓動が止まってしまいそうで、恐怖に慄いた。

さっき、全力で発動させた力の反動がきている。

まだ次の力を使えるほどには、体が回復していないんだ。

どうしよう。塔子さん、マロ・・・!