神様修行はじめます! 其の三

あたしの脳が神経に命令する。

『危ないヤメろ、大変なことになるぞ。手を放せ』って。

でもあたしは、自分の反射神経と脳みそに、意思の力で反抗した。


・・・せっかくのご忠告だけど、悪いね脳みそ。それは聞けない。

自慢じゃないけど、反抗するのは得意中の得意なんだよ。

第二反抗期の時に、あたしがやらかした数々の逸話は、親戚中で伝説になっているほどだ。

やめない。手を離さない。
あたしは、やるんだ。

できるかできないか、じゃない。
やるんだよ! やる!

門川君の望むことを守ることが、あたしが望み、成すべきこと!

絶対にやってみせるともさ!


「門川君、頑張って!」

「天内、君・・・」


両手の激痛は増していく。
何本もの大きなノコギリでギリギリ切り裂かれるような、骨に達するほどの激痛だ。

あたしの手の皮膚も破けて、血が飛び散って、正直泣くほど痛い! 痛い! 痛いぃぃ!


みっともなくヒィヒイ泣きながら、それでもあたしは必死で彼の手を握り続けた。

反発する彼の手を力一杯、外側から押さえつける。

この行為が、どれほど彼の役に立っているのか分からない。

ハッキリ言って、何の役にも立ってないのかもしれないけど。

それでもあたしは・・・やるんだ。

やるんだー!


「負けないで門川君! 負けないでー!」

「・・・あぁ、僕は、負けない。負けるわけが、ない」


泣き声で訴えるあたしに、応えてくれる彼の声。

荒い息はもう切れ切れで、それでも明らかに、今までにない力が漲っている。

涙でかすんで見える彼の目は怖いくらい真剣に、強烈に、あたしを見つめていた。

その力強い視線のまま、血に染まった彼の唇が言葉を放つ。


「君さえいれば、僕は無敵だ!!」


震える彼の両手が、ついにしっかりと印を組む。

あたしの血だらけの手が、間違いなくそれを感じた。