神様修行はじめます! 其の三

「か、門川君!」
「心配、ない・・・僕は、やる」

結界との反発の威力が、彼の腕をどんどん傷付けていく。

腕だけじゃない。胸や喉元からも血が流れている。

白い正装は赤黒く染まり、生地から漏れた血がポタポタと足元を濡らしていった。

彼の顔は蒼白になり、額から汗がダラダラ垂れている。

凄惨な顔で咳き込んだ口からは、血の塊が噴き出た。

それでも彼は、決して諦めようとはしなかった。

「門川君・・・!」
「永・・・久・・・」


地面に倒れ、力無く薄目を開けて門川君を見守る絹糸。

助かるかどうか瀬戸際のしま子と、凍雨君。

いつ事切れてもおかしくない、重症の塔子さん。


・・・やらなければ、ならない。

どんなに血を流そうと、彼はやらなければならない。

彼自身が言ったことだ。

『自分の血の一滴も流さずに、世界を変えることなどできはしない』と。


一滴どころか、命さえも危ぶまれるほどの血を流し、彼は望む。

その先にある未来を。
その道へ進むことを。

それが彼の望むこと。
揺ぎ無い決意でもって、彼自身が強くそれを望んでいる。

なら・・・・・

あたしがやるべきことは、ただひとつだ!


あたしは迷わず、目の潰れそうなほど眩しい光に向かって自分の両手を伸ばす。

そして光の中の彼の両手を、しっかりと包み込んだ。

「・・・・・!」

激痛に悲鳴をあげた。

なにこれ、痛い! 信じられないほど痛い!


「天内君!? 何をしているんだ! 手を離せ!」


門川君の声に、あたしは悲鳴を上げながらも懸命に首を横に振った。

い、や、だぁぁ・・・!!