神様修行はじめます! 其の三

「今すぐその口を閉じよ! 塔子!」


絹糸の両目が爛々と輝き始めた。


ざわざわと大きく毛並みが揺れ、ピリピリと周囲の空気が張り詰めだす。


「お前こそ、この場から立ち去るがよい! このヘビ女めが!」


「ヘビ・・・!? な、なんですって!?」


「立ち去らねば沼の主の白妙(しろたえ)に、沼に引きずり込ませるぞ!」


「な・・・な・・・」


「白妙に教育し直して貰うが良いわ! さすれば少しはまともなヘビになろう!」


「その暴言! 後悔させてやるわ!」


ぐううぅ、と唸り声を上げてしま子が牙を鳴らす。


あたしの様子や絹糸の怒りの状態を見て、完全に戦闘態勢に入ってしまっている。


だめ。だめだよ。


ここで騒ぎを起こしたら、みんな大変な事に・・・。


・・・結局、あたしのせいだ。


あたしがいるばかりに、皆に迷惑をかけているんじゃないか。


あたしが、あたしさえいなければ・・・。


「端女も飼い猫も奴隷の鬼も、まとめて後悔させてやる!」


「おお! できるものならばやってみい!」


「ぐああ! うぐああ――!」


「きゃああ! 誰か! 誰か来てえっ!」


「猫が、鬼が襲ってくるわ!」


やめて――――! お願いだから、やめてっ!


分かった! もう分かったから!


「あたし、門川を出て行・・・!」


「あらまあ、ずいぶんとにぎやかですことね!」