神様修行はじめます! 其の三

意識が戻ると同時に、世界も元に戻っていた。

あの炎の全てが、嘘のように消え去っている。

まるでヘタクソな編集画面を見てるみたいに、灼熱地獄絵図から元の普通の世界へと、一瞬で戻ってしまった。


消えているのは炎だけじゃない。

黒い酸の海や、魔犬たちも跡形も無く消滅していて、あたしは門の上に倒れた体勢のまま目を丸くした。


ほ・・・ほんとに嘘でしょ? どうなってんの?

今までのアレって、もしや幻覚?

わーお、ひょっとしてあたし、門川君の言う通りにマジ寝てた?

滅火の能力ってどうなってんの?

我ながら不可解すぎて、わけ分かんないよ。


「不思議を通り越して、もはや不気味じゃん・・・」

「自分でやっておいて何を言うか。相変わらず制御に関しては無茶苦茶じゃのぅ。お前は」


制御? じゃあやっぱり、寝てたわけでも夢でもないんだ。

ってことは・・・

「門川君! しま子! 凍雨君! 塔子さん!」


仲間の名前を叫びながら飛び起きようとした途端、全身に猛烈な痛みを感じた。


「ぎゃ!?」と呻き声をあげて、そのままバタリと元の体勢に戻ってしまう。


なに、これ? すごく変な痛み。
全身、むち打ち症みたい。

うぅぅ、これほんと苦しい。全然動けないー。
ムチャなことした反動が一気にきた?


「塔子殿、大丈夫か?」
「永久様、里緒とあのふたりの所へ、どうかお早く・・・」


痛みにあえぐあたしの耳に、門川君と塔子さんの会話が聞こえてきた。


「私は大丈夫です」
「しかし・・・」
「里緒はともかく、あのふたりは本当に一刻を争います。早く、今すぐ・・・」