神様修行はじめます! 其の三

「やれ。猶予は無い。今すぐやれ」


―― ビシィィ―――――ッ!


「お前に選択の権利は無い。なぜならおまえは、すでに自分で誓ったはずじゃ」


―― ビシィィ―――――ッ!


「皆が死ぬも生きるも、お前しだい。それでも、できぬと言うのなら・・・」


―― ビシィィ―――――ッ!


「お前が、永久もろとも皆の命を見殺しにするだけの話じゃ」
「・・・・・・!」


あたしが、みんなの命を・・・

門川君の命を、見殺しにす、る?


鼻血が唇に流れ、血の鉄臭い味がした。

とうに力尽きているはずなのに、あたしを見上げる絹糸の両目は轟々と光っている。

今までに見た事も無いほど、生々しく光る黄金色。


「小娘がやらねば、全員死ぬ。だから、やれ」

― ビシィィ―――――ッ! ―


「できぬか? やらぬか? やらねば死ぬと知りながら、お前は目を逸らすか?」


―― ビシィィ―――――ッ!


もはや、あたしの鼻に感覚はひとつも無かった。

痛みも、痒みも、痺れも無い。

鼻血が両穴から流れる落ち、顎に伝う。それでも絹糸は一切、容赦しなかった。


そう。容赦しない。
許さない。

絶対に絶対に絶対に、絹糸は許さない。


未熟だからという、あたしの自己憐憫を。

愚かだからという、あたしの逃避行を。

思考停止という、身勝手な自己防衛を。


爛々と、寒気がするほどの壮絶な黄金の目は、あたしの奥の隠したい弱さの全てを見抜き・・・

そしてそれらを、何ひとつ許しはしない。