「おお、怖い目! なんて恐ろしい!」
塔子さんが扇で顔を隠しながら大げさに怯えてみせる。
「その嫉妬に狂った目。欲望の表情。・・・きっとそっくりな顔をしていたのでしょうね」
ちらり・・・。
扇の陰から覗く一重の目。
「お前の祖父が永世様を襲った時も」
・・・・・!!!
あ・・・・・。
脳裏に甦る。
水絵巻で見た、あの時の情景。
あの時の・・・
じー様の、狂気に満ちた目。
心臓が、破裂しそうに大きく鼓動を打った。
衝撃のあまり体が硬直した。
全身を駆け巡る血が、針のように体中を刺して暴れる。
こわばる両目に涙が浮かんだ。
「小娘! しっかりせい!」
潤んでぼやけた視界に、あたしを見上げる金色の目が映る。
しま子があたしを抱き寄せ、夢中で背中を撫でさすった。
「お前は自分さえ良ければいいのね。自分の物にさえできれば、当主様がどうなっても構わないのね」
目から零れる涙を、しま子の胸元の赤い布地が吸い取る。
震える指で布地をぎゅうぅっと掴んだ。
「たいした『愛』ね。見上げたものだわ。さすが犯罪者の血のなせる業ねえ」
塔子さんが扇で顔を隠しながら大げさに怯えてみせる。
「その嫉妬に狂った目。欲望の表情。・・・きっとそっくりな顔をしていたのでしょうね」
ちらり・・・。
扇の陰から覗く一重の目。
「お前の祖父が永世様を襲った時も」
・・・・・!!!
あ・・・・・。
脳裏に甦る。
水絵巻で見た、あの時の情景。
あの時の・・・
じー様の、狂気に満ちた目。
心臓が、破裂しそうに大きく鼓動を打った。
衝撃のあまり体が硬直した。
全身を駆け巡る血が、針のように体中を刺して暴れる。
こわばる両目に涙が浮かんだ。
「小娘! しっかりせい!」
潤んでぼやけた視界に、あたしを見上げる金色の目が映る。
しま子があたしを抱き寄せ、夢中で背中を撫でさすった。
「お前は自分さえ良ければいいのね。自分の物にさえできれば、当主様がどうなっても構わないのね」
目から零れる涙を、しま子の胸元の赤い布地が吸い取る。
震える指で布地をぎゅうぅっと掴んだ。
「たいした『愛』ね。見上げたものだわ。さすが犯罪者の血のなせる業ねえ」


