あたしと門川君の耳に、低い悲鳴が聞こえた。
「・・・塔子さん!?」
ひとり果敢に敵に立ち向かっていた塔子さんが、横倒しに倒れている。
その身に魔犬が覆い被さり、サイの角みたいに太い牙を、塔子さんの体に深々と突き立てていた。
白い襦袢が、彼女の鮮血で真っ赤に染まっている。
魔犬の牙が引き抜かれ、塔子さんの体がビクンと大きく跳ねて、赤い襦袢にさらに赤黒い血が舞った。
そして再び、魔犬が彼女の体に噛み付き頭を乱暴に振る。
「―――――!!」
塔子さんの口から、耐えるような声が漏れる。
「塔子殿!」
門川君が刀を手に、即座に塔子さんの元へ駆け寄った。
彼女を襲う敵に向かって切りつけようとする彼に、別の魔犬が大きく跳躍しながら襲い掛かる。
素早い太刀捌きで斬り払っても、また次々と別の魔犬が襲い掛かる。
自分を襲ってくる敵への対処で、門川君は塔子さんを助けるどころじゃない。
あ、あたしも行かなきゃ!
行って門川君と塔子さんを守・・・!
「う・・・あぁ~・・・」
「・・・しま子!」
命の危機にさらされる双方の味方を見比べながら、あたしはその場に座り込んでしまう。
残された最後の力で、あたしを見つめ続けるしま子の視線を受け止めながら、頭の中は完全にパニックだった。
しま子、凍雨君。
門川君、塔子さん。
・・・どうすればいい?
あたしは今、何をどうしてどうすればいいの?
どうする事が正解なの?
なにをすればいい? なにができる?
千年前、夫を選んで世界を捨てた雛型の選択が、心に浮かぶ。
そしてあたしの答えは・・・
何も、ない。
あたしには、しま子も凍雨君も助けられない。
救っても、消えかけているふたりの命を助けることはできない。
だからといって、しま子を見捨てて向こうへ行くなんてできない。
ただこの場に座り込み、ふたりが死ぬのを確認するだけ。
ただ、それだけ。
ただそれだけが・・・
無力で、非力で、愚かで、ちっぽけなあたしにできる、唯一のことだ。
「・・・塔子さん!?」
ひとり果敢に敵に立ち向かっていた塔子さんが、横倒しに倒れている。
その身に魔犬が覆い被さり、サイの角みたいに太い牙を、塔子さんの体に深々と突き立てていた。
白い襦袢が、彼女の鮮血で真っ赤に染まっている。
魔犬の牙が引き抜かれ、塔子さんの体がビクンと大きく跳ねて、赤い襦袢にさらに赤黒い血が舞った。
そして再び、魔犬が彼女の体に噛み付き頭を乱暴に振る。
「―――――!!」
塔子さんの口から、耐えるような声が漏れる。
「塔子殿!」
門川君が刀を手に、即座に塔子さんの元へ駆け寄った。
彼女を襲う敵に向かって切りつけようとする彼に、別の魔犬が大きく跳躍しながら襲い掛かる。
素早い太刀捌きで斬り払っても、また次々と別の魔犬が襲い掛かる。
自分を襲ってくる敵への対処で、門川君は塔子さんを助けるどころじゃない。
あ、あたしも行かなきゃ!
行って門川君と塔子さんを守・・・!
「う・・・あぁ~・・・」
「・・・しま子!」
命の危機にさらされる双方の味方を見比べながら、あたしはその場に座り込んでしまう。
残された最後の力で、あたしを見つめ続けるしま子の視線を受け止めながら、頭の中は完全にパニックだった。
しま子、凍雨君。
門川君、塔子さん。
・・・どうすればいい?
あたしは今、何をどうしてどうすればいいの?
どうする事が正解なの?
なにをすればいい? なにができる?
千年前、夫を選んで世界を捨てた雛型の選択が、心に浮かぶ。
そしてあたしの答えは・・・
何も、ない。
あたしには、しま子も凍雨君も助けられない。
救っても、消えかけているふたりの命を助けることはできない。
だからといって、しま子を見捨てて向こうへ行くなんてできない。
ただこの場に座り込み、ふたりが死ぬのを確認するだけ。
ただ、それだけ。
ただそれだけが・・・
無力で、非力で、愚かで、ちっぽけなあたしにできる、唯一のことだ。


